こんにちは、株式会社メディア・コンフィデンス早野龍輝です。
今回は、マーケティングの「インハウス化」が必要な理由についてお話をしていきます。
内容に入る前に、インハウス化とは何かについて説明します。
インハウス化とは、これまで広告代理店や外部の制作会社フリーランスに頼っていたマーケティング業務を、すべて社内の社員もしくは社内のスタッフだけで行うように体制を作ることをいいます。
近年、このインハウス化を実施する企業が増えています。
そこで今回はこのマーケティングのインハウス化について、必要な理由をご紹介していきたいと思います。
コスト面における改善
最初にインハウス化について理由にあがるのが、コスト面の改善です。
ウェブマーケティングでは広告を出したり、ウェブサイトを作ったり、様々な場面で広告代理店に多額の費用を払うケースがあります。
もちろん、代理店はプロフェッショナルです。
代理店に費用を払うことで、一定のものを安定的に手に入れられるというメリットはあります。
しかしながら、ここには制作費だけではなく、広告の出稿費用などで、月額固定で多額の費用が発生するという面があります。
インハウス化によってこうした代理店への費用をカットし、自社で内製化することで、こうした費用をコントロールできないか、無駄な費用をカットできないかという目線が生まれます。
僕が以前お話しした企業だと、リスティング広告だけで月額40万円を毎月払っていながらも、成果はほとんど出ていない、というケースがありました。
僕が指摘してはじめて気づいたようでしたから、話題にしなかったら今も無駄になっていたでしょう。
もしインハウス化を早めにできていれば、成果が出ていないことに気づき、費用の見直しができていたかもしれません。
商品理解のコミュニケーションコストが意外とかかっている
2つ目が、実写商品の理解についてのコストをカットできるという面です。
これはどういうことかというと、打ち合わせに無駄な時間がけっこうかかっているということです。
広告代理店に、自社商品の広告やWebサイトの依頼を行う場合、どうしても自社商材を理解してもらう時間と手間が発生します。
これは、「コミュニケーションコスト」という言い方もできます。
自社の商品がどういったサービスで、どういう顧客像に向けて、どんなメッセージを打ち出しているのか。また、ウェブマーケティングのフローにおいて、どんな意図を持ってこの施策を行いたいのか。
施策の初期には、これを代理店とすり合わせる必要がどうしても出てきます。
代理店側は、業界には詳しくても、あなたの会社の個別の商品について詳しいわけではありません。
もし代理店に依頼しようとしたら、その都度会社の商品を説明して、会社のブランドや歴史、カラーやカルチャーについて理解してもらってからはじめて依頼が可能になります。
流れとしては、代理店を決め、打ち合わせの日を決めて、打ち合わせを行い、出てきたラフ案から認識のずれを直して、修正してもらう。
これだけで最低でも2〜3週間かかります。
担当者が変わったら、最初からやり直しです(代理店側の担当者は頻繁に変更になります)。
何をするにも、施策に取り掛かる前に商品理解の時間がかかり、動き出しが遅れるということです。
初動に遅れるということは、何を行うにもそれだけ時間がかかるということになります。
これがコミュニケーションコストです。
「代理店に頼めばあとはいいデザインをつくって集客してくれる」と考えている社長/部長がいたら、その考えを一旦捨ててください。
このコミュニケーションコストを負担しているのは、実は自社の担当者です。
残業が増える一因です。
外注においては、商品理解の手間があることを忘れてはなりません。
担当者からすれば、こうした無駄な打ち合わせも業務になってしまい、結果的に全く必要のない時間と手間が生まれているということになっています。
インハウス化によって、このコミュニケーションコストをゼロにするべきです。
自社商品に対して元々理解している社員がマーケティングを担当すれば、自社商品への理解の手間を圧縮できます。コミュニケーションコストの問題は解決されます。何をやるにも2週間程度早く動けるということになるわけです。
以上が、費用と時間という、コスト面でのインハウス化のメリットです。
実際にやってみると何をするにも時間がかからないし、無駄な費用がかからないので、インハウス化に慣れてくると代理店に頼むのがもったいないと感じるようになります。
施策選定におけるインハウス化のメリット
続いてインハウス化が必要な理由の2つ目として、施策選びがあります。
施策とは、SEOやGoogle広告、SNS広告、セミナー、YouTubeなど、Webマーケティングの顧客獲得段階でどんな手段を使うかを指します。
この施策を選ぶことを試作選びというわけですが、インハウス化を行うことで、どの施策を実施が行うべきか、これを客観的な目線で選ぶことができるようになります。
この施策選びですが、広告代理店や制作代理店に頼っていると、どうしてもその代理店が得意な施策に中心が偏ってしまいます。
外から見たらあまり効果的ではない、代理店がやりたい施策を無理やりやっているということになってしまいます。
例えば、SEO代理店であればSEOだけを提案してきます。
インスタ広告代理店であれば、インスタ広告だけを提案してくるでしょう。
最近だと、本当はYouTubeに向いていないのに、代理店側から営業がきてすすめられたから無理矢理やっているようなケースが散見されます。
こうした施策選びは、全体の知識がないとなかなか難しい面がありますが、インハウス化によって改善可能です。
自社で社員を育成し、社員が自らの観点からどの施策をやるべきかを決めることができるようになれば、施策を選んで実行するうえで必然性や根拠というものが生まれてきます。
これは毎日の積み重ねの中で大きな差になってきます。
正確に外注できるようになる
正確に外注できるようになるという点もあげておきます。
担当者が自らインハウス化によって自分の施策を進めているのであれば、足りない箇所はピンポイントでわかるようになります。
例えば文章のライティングだけが足りないとか、バナー制作だけが足りないなど、自分たちでできる部分は自分たちで素早く用意をして足りない部分だけを発注することができるようになります。
たいていの場合、マーケティング施策の実行で足りない部分というのはほとんどが文章執筆であったり、画像製作であったりと、フリーランスに簡単に外注できる部分になります。
インハウス化では、これらフリーランスにすぐ依頼できるような業務だけを残して、意思決定や商品理解が必要な部分に関しては、できるだけ担当者が行うというのが理想になります。
これはコストや費用の無駄がなく、理想的な形だということが言えます。ぜひ、インハウス化を目指していきたいですね。
育成面におけるインハウス化のメリット
続いては育成面についても触れていきます。
インハウス化によって自社にノウハウが付く、自社にノウハウが蓄積されるということを覚えてください。
Webマーケティングひとつとっても SEOの技術やWeb広告の実行など、様々なスキルがあります。
これを自社の担当者が一つ一つ行い、自社にノウハウを蓄積していくことが必要です。
Webマーケティングがうまくいっている会社は、この「ノウハウを蓄積する」ことに対して非常に意識的です。
反対に、日頃、闇雲に何をやってるかもわからず、代理店に言われるがまま制作費用を払っているような会社というのはずっと同じ失敗をしています。改善が見られません。
「このやり方で、自社にノウハウが蓄積されるか?」という目線をもつことです。
「今回は、こんな仮説を立てて、これぐらいの予算で動いてみたら、何ヶ月で、こんな結果が出た」
これが一つの試行(トライアル)です。
試行を何度もおこない、感覚を確かめていく作業です。
何度も確かめていくことで、担当者にノウハウが蓄積されるようになります。
プレゼンが改善され提案力が上がり、社内理解が進む
インハウス化によってプレゼンが改善され提案力が上がり、社内理解が進むというメリットをお伝えしておきます。
担当者は自分の試作を選び、自分の施策がどうあるべきか、どれぐらいの予算を使って、どんな成果を出すべきかを、意識的に考えるようになります。
ここで生まれてくるのが、社内プレゼンテーションです。
Webマーケティングの現場では、こうした試作選びの結果が必要な予算を計算してプレゼンテーションを行います。
プレゼンテーションを行うに際し、担当者は自らの必要な予算の根拠、そして得たい生活と年間計画をプレゼンテーションすることになります。
そこでは担当者が、自分たちが「何を目指して、どれぐらいの手間をかけて、物事を行っているのか?」これを第三者に簡潔明瞭に説明できるようになります。
説明するための資料をつくりますから、データ分析やデザイン力もあがりますし、思考を整理して伝えるという作業ですから圧倒的な成長スピードを手に入れることができます。
人材育成の観点からいえば、これ以上ない機会です。
マーケティング業務に正面から取り組み、ノウハウを蓄積していければ、担当者は驚くほど成長します。
インハウス化を進めていくために
以上、マーケティングの「インハウス化」が必要な理由についてお話しをしてきました。
ただ、実際にインハウス化していくにあたり、社内耐性や育成についてイメージできない場合もあると思います。
私たちが提供する研修プログラム「アクティビスタ」では、部署の相談に乗りながら、インハウス化のメリットと担当者の育成についてディスカッションする機会を設けています。
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